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No.1 本城 直季 写真家

39通りの生き方、自然体の輝く顔がある。


  

大判カメラと出会い、写真に目覚める。
途方もない野望を抱き、
淡々と自分の表現を鍛える。

     

No,1

写真家/文京区
本城 直季
honjonaoki.com/

  

  

文京区にある「SHINOGO(シノゴ)」。
大判カメラの4×5をアトリエの名前に。

競馬場、プール、高速道路、ケニア、ラスベガスなど高い位置から撮影された本城直季の作品は、雑誌の表紙や広告に使われており、写真をあまり知らない人でも見覚えがあるくらいインパクトがある。俯瞰から眺めるように写された街や人、建物、動物、木、すべてが色彩豊かで立体的で、精巧なミニチュア模型のよう。しかし、確かにこの世界に存在する都市であり街であり、私たちがそこにいる。

本城の作品は、4×5(フィルムサイズ4×5インチ、10.2×12.7cm)と呼ばれる大判カメラとの出会いによって生まれた。このカメラを使い、「アオリ」技法で撮影した作品で2006年木村伊兵衛写真賞受賞。現在は3人の写真家とアトリエを共有し、コンスタントに作品を発表している。


※今では珍しい4×5の大判カメラ。江戸時代末期に日本に入ってきた大きな写真機をイメージしてください。

35ミリではシャッターを切れなかった。
だけど、4×5は自分の性格に合っていた。

大学の写真学科に入学後、撮り始めました。35ミリから中盤のカメラを使っていたのですが、同級生のようにパシャパシャ撮れなかったんです。何かしら表現はしたいけれども、何を撮っていいのかわからない。撮りたいものが見つからない。だからシャッターが切れない。何でも気軽に撮れる35ミリが僕には苦痛でしょうがなかったですね。

大判カメラとの出会いは大学4年の授業で、10分程度触っただけでした。その後、自分で実験的に試しながら技術を覚えました。4×5は撮る前に煩雑な準備が必要で、いろいろ考えて悩んで、被写体と長時間対峙して一枚撮る。それから現像に出し、プリントしてようやくチェックできるんです。だけど「シャッターを切らなくていい!」とすごく気がラクになりました。ゆっくりとした一連の作業が自分の性格に合ってましたね。

大学院に進んだある時、橋の上から撮った対岸の公園の写真がミニチュアみたいに見えて。釣り人や遊んでいる人も池も不自然に写ってたのが衝撃でした。そこから作品づくりに没頭しました。だけど、4×5はコストがかかる。一枚撮るのに650円くらいかな、そのたびに「ラーメン一杯食えたな〜」って。あの頃は納得できる作品を撮りたくて必死でした。

家族がミニチュアの写真に驚いた。わらしべ長者のように仕事が増え、ヘリで空撮までするように。

35ミリで撮った写真には反応しなかった家族が4×5の写真にはとても驚き、写真は門外漢の科学・工学系の教授も「おもしろい」と言ってくれました。周りの反応が変わったのを見て自分でもミニチュア写真の魅力に気づき、コンクールに出品し、雑誌「コマーシャルフォト」の編集長に売り込みをし、デザイン関係の人が広告の仕事をくれて、どんどん人とのつながりが広がり、写真集「small planet」を出版し、木村伊兵衛賞を受賞し、ニューヨークでグループ展や日本で個展をし、今に至ります。カメラと出会い、撮影技法に目覚めたのが転機となって、わらしべ長者的に環境が変化しました。

今も作品を撮りためながら、仕事でも撮ります。35ミリも使うし、人物も商品も撮るし、取材にも行きます。ミニチュア写真は高さと距離感が一番大事なので、どんどん高い所で撮るようになり、ヘリコプターで空撮もします。次は気球に乗って撮りたいですね。時代の空気や社会の構造を写し出すのに優れた写真に、俯瞰した自分の精神性と4×5が合わさって作品になっているんだと思います。

“頑張らない”くらいが、ちょうどいい。
マイペースに今まで通り「継続は力なり」で進む。

頑張れる秘訣は、頑張らないこと。頑張りすぎると続かなくなって苦しくなるんです。周りにはのほほんとしているように見えているけれど、何もやってないようで実はやり続けているのが僕のスタンスです。

4×5では、カメラ本体やレンズ、フィルムホルダー、かぶり布、三脚、シャッターなどを一つずつ組み立ててから撮影します。機材は全部で16.5キロあるから腰にガタがきてて。一日機材を担ぐと二日間動けなくなったり。腰痛を緩和するため毎日ストレッチをしています。僕は睡眠中しかめっ面をしているみたいで、身体にすごい力が入っててそれが腰にも影響していると思う。39デザインマットレスで寝たら、力を抜いて眠れました。睡眠の本質的な「リラックスして眠る」が重要だと気づきました。

今のテーマは“人工”です。ドバイのような特有な街を撮りたい。人工的な街がミニチュアの写真になったらどう見えるのか。僕の写真には小さいけれど人もいる。見た人はどんなに小さくても人を見つけ、何をしてるんだろうと考えます。なんで私たちは人に興味を抱くんでしょうね。人工的な街と人に、どんなドラマが写るのか関心があります。
2歳半になる子ども中心の生活なので今は作品を撮るペースは少し落ちていますが、撮り続けています。MOMA(ニューヨーク近代美術館)で個展を開くという途方もない夢を学生時代から持っていますから。「継続は力なり」で写真もストレッチも子育ても、独自に少しずつ。4×5と同じで俯瞰して。それが僕には合っているんです。

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