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No.2 坂本大祐 商業デザイナー

39通りの生き方、自然体の輝く顔がある。


   

フィジカルに響くコミュニティがあれば、
価値観の近い人が集まって来る。
仕事は、未来は、自分の手で選択できる。

   

No,2

商業デザイナー/東吉野村
坂本 大祐
sakamotodaisuke.tumblr.com/

 

  

    

村の96%が山林という奈良県の東吉野村。
人口2000人の村にシェアオフィスを開設。

坂本大祐が暮らすのは大阪から車で約二時間、奈良県東部地域にある東吉野村。桜で有名な吉野山がそばにあり、吉野杉・檜の集散地でもある。しかも、ニホンオオカミが最後に捕獲されたところらしい。これだけでも、東吉野村がどんなに山深いか想像できるだろう。

そんな小さな集落に、シェアオフィス「OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO」を2015年春にオープンさせた坂本大祐。「オフィスを丸ごとキャンプしよう!」と、築70年の古民家を改装し、キッチン、ミーティングスペース、コーヒースタンド、ギャラリー、畳敷きの個室オフィスがある。

薪割りワークショップ、山村暮らし体験などを開催し、噂を聞きつけ都会の人たちをはじめ全国から人が集まってくる。「もっとヒマやと思ったんやけど。水本実村長には、移住は結果が出るまで時間がかかると思ってくださいと言ってたんやけど、まさか1年以内に3組も移住するとはね~」と、坂本大祐は笑顔で話す。

身体を悪くしてまで働いてたなんて、バカみたいだ。

オレが2006年に移住してきたのは、身体を壊したから。数年前に家族がここに移住していたし。大阪で商業デザイナーとして働き、やらなあかん仕事が次々あった。お金は貯まったけど、仕事の無限ループから抜けられんようになって。赤い靴履いたらステージで踊り続けなあかんと思い込んでた。でも、身体悪くしてステージから降りてみると、あれ~? 降りれたわ。

移住当初は「都落ちや、悔しい」と思いながら一年間療養した。身体は正直やわ。お金には代えられん健康を差し出してまで仕事してたやなんて、高い代償を払って初めて気づいた。仕事と健康が、等価値になってない。都会でバリバリやれる人は素晴らしい。けど、価値観の異なる人を受け入れる場所、ゆるやかな暮らしや自由な時間を持つとか、おもしろそうなことで人がつながれる場所がもっとあればいいよね。

今は体調をチェックし、意識して身体を動かしてる。土の付いた質の良い野菜が安く手に入るし、水もいいし空気もうまい! しかも無料! 精神的には健康だし、毎日が楽しいよ。もちろん、睡眠時間も大事。もう夜更かしはしないから疲労も回復できてる。

デザインとは翻訳。
本質を掬い取り、人を動かすのがデザイナーの仕事。

東吉野村で少しずつ仕事を再開し、地元の人の話を聞くうちに、一次産業に携わる方の想いが商品になった場合に上手く伝わってないと感じた。言語もデザインにしても消費者に理解されていない。そこを翻訳者としてちゃんと伝わるよう変換する。それが今必要なデザインやと思う。翻訳を意識したデザインが例えば、この「OFFICE CAMP」の空間であり、椅子や机のプロダクトやね。

残念ながら、デザイナーがいいと強く言い張るものがお金になるんですよ。でも、トレンドよりも本質が変わらないもの、本質を掬い上げたデザインがしたい。目の前を流れる川のように何万年も変わらないものには厚みがあるし、一次産業従事者のようにリアルに自分の手でものをつくる人は尊いですよ。お茶や野菜、林業など、つくった人の顔の見えるものに囲まれて暮らしていると、敬意を払わざるを得なくなる。デザイン哲学もクオリティも変わった。ここに来ないと環境や質感がわからないのと同じで、フィジカルに理解したことを今は仕事にしている。

一つひとつ選ぶ行為の積み重ねが自分をつくる。
それが生きるということ。

都会がいい地方が悪いではなく、各自が一番心地いいものを選択すればいい。オレの場合は都会で仕事する自分と奈良で療養する自分、このふたつの軸を経験して初めて客観視できた。異なる評価軸を持ち、比較できる対象を増やして、その中から自分で選ぶ。選ぶためには知ることが大事。頭ではなく、リアルに。選択するには質を伴った経験が必要。だから動くんだ。

自分の居心地のいいコミュニティで働き、出会い、眠る。
これが一番、最高やね!

一元化、合理化を押し進めると最終的にはひとつの結果しか生まれない。20世紀はそれをやり続けた結果、あぶれたものを排除してきた。21世紀はダイバーシティという言葉に集約されるように、多様な価値観を持った人、年齢や性別、人種、職業に限定されない個性を生かして新しいモノを生み出す時代。そんな多様性を「OFFICE CAMP」で確立させたい。見たことのないものが見たい!これからはもっと早いスピードでおもしろい未来が見れるんやないかな。

異なる生き方をしている人たちが田舎に来て話しをし、酒を飲み、温泉に浸かって同じ時間を共有する。夜はしーんと静かな寝床でぐっすり眠る。うん、一番の贅沢やね。街づくりは関係づくり。よりよい人との関係が未来をつくっていく。それにはまず、「自分が心地いいか」という視点を持つこと。誰と暮らすか! 誰がいるのか! 自分の感覚と近い人のいる心地いい場所を選ぶと、響き合える。それが、これからのコミュニティやね。

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